生前整理とは体が元気なうちに処分するもの、残して相続してもらうものを決めて整理することです。残されたご家族の負担が軽減されます。生前整理も遺品整理も、身の回りを整理することに変わりませんが、自分で行うか亡くなった後に自分以外の誰かが行うのかが大きな違いです。
生前整理はしたほうがいいの?
自分自身の将来に向けて不安を払拭でき残された遺族の負担が軽減され大切な財産や思い出をきちんと引き継ぎできるメリットがあります。現在は「デジタル終活」がとても重要になっているので生前整理を行なっておくと良いでしょう。
不動産の生前整理
不動産の相続はトラブルに発展しやすく、残された遺族が揉める原因の一つとなっています。これは不動産を平等に分割することが難しい為起こってしまいます。また、現在社会問題の一つとなっているのが「空き家問題」です。相続したけど管理できずに放置状態になり、倒壊や放火の対象となってしまい近隣の方に迷惑をかけるということになりかねないのです。そのためにも生前整理の一つに取り入れ、遺言書を作成してどのような形が望ましいか決めておいた方が管理責任者もはっきりし遺族も動きやすいと思います。
よくある不動産相続のトラブル
土地を平等に分けようと考える
土地を平等に相続するのは良いのですが、その後の土地活用が大変になります。例えば、将来不動産の売却を考えたときに、2人以上が不動産の名義人になっている場合名義人全員の同意がないと売却することができません。
兄弟同士のトラブル
兄弟でのトラブルはかなり多いようです。
(事例)弟が実家で両親の介護をしており、兄は全く介護をしていませんでした。弟としては、自分が1番両親の面倒を見ていたため、相続を1番もらうべきだと主張しています。
しかし弟は結婚しており、祝い金として500万円を両親からもらっていました。兄は未婚のため、500万円の祝い金はもらっていません。
兄弟同士の意見が衝突し、相続トラブルになりました。
このような兄弟のトラブルも生前整理で不動産をどういう形が望ましいか事前に決めておけばよかったかもしれません。
意見の衝突
相続人が多くなると、不動産の相続への考え方も人それぞれ。最悪の場合は裁判に発展するケースも珍しくありません。
名義に関するトラブル
相続する不動産や土地の登記状況を確認していないことで、トラブルに繋がることがありますので、注意が必要です。登記をしっかりしておかないと、このようなトラブルが発生します。
- 他人に貸したり、売ったりすることができない
- 新しく家を建てることができない
特に不動産相続のトラブルで多いことが、ご両親が名義変更を忘れていた時です。ご両親の名義のままにしておくと、相続した不動産を活用するときの手続きがとても複雑になります。
また、そのほかに厄介なトラブルが「未登記物件」です。未登記物件は、司法書士への依頼が必要となり、費用が発生してしまいます。
空き家として放置
空き家として放置し近隣住民とトラブルになり揉めることです。
- 家の草木が生い茂って、近隣住民からクレーム
- 空き家が犯罪集団の拠点になる
- 空き家が放火される
また、2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、有害な「特定空き家」に指定されると税金が高くされることになりました。具体的には、特定空き家に指定されると、土地の固定資産税などを減額する「小規模宅地等の特例」が適用されなくなるのです。
遺品は全て相続財産になる
遺品は全て相続財産に含まれます。故人が日常的に使用していた身の回りのものや不用品も法律上は相続財産となります。それらをひとつひとつ遺産分割協議で合意を形成して分割するということは実際に行われることはありませんが、遺産分割協議の前に勝手に処分してしまうと、思わぬトラブルに発展することもあります。遺産分割協議は実際に全員が集まらなくても、文書やメールのやり取りでもか構いませんが、参加者全員が同意しないと協議が成立しません。誰か一人でも反対すると、競技は不成立となります。つまり、相続人全員の相違がないうちに、勝手に遺品を処分したり売却したりすることは注意が必要になってきます。
遺品整理はいつするのか?
遺品整理をするタイミングは意外と難しいかもしれません。整理をする方の精神的なこともあるでしょうし、相続人が複数いる場合は集まるタイミングなども気にしなければいけません。ある程度の節目を情報として頭に入れておいて、スケジュールを設定しましょう。
葬儀後(亡くなった7日後〜)
一番早いタイミングは葬儀後すぐに開始されるケースです。死亡届についても、亡くなってから7日以内に提出が必要なので、まずは死亡直後の手続きが終わったことを目安に、遺品整理するイメージです。
社会保険・役所関連などの手続き後(亡くなった14日後〜)
「社会保険」と「年金」に関連する手続きです。まず健康保険についてですが、故人の住所地の役所の担当窓口に資格喪失届を提出し、健康保険証を返却します。また老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給していた場合は、最寄りの年金事務所または年金相談センターで、受給停止の手続きを行います。
これらの届出は亡くなって14日以内(厚生年金は10日以内)に手続きをする必要がありますので、まずは手続きがひと段落したら、遺品整理を開始するという風に決めても良いでしょう。
四十九日法要の後(亡くなった49日後〜)
故人の命日から四十九日目に行われるのが、多くの親族が集まる「四十九日法要」です。仏教の多くの宗派において、故人が極楽浄土に入れるかどうかを決める裁判が終わる四十九日までは、故人は現世をさまよっていると考えられています。そこで、四十九日を区切りとしてとらえ、その後に遺品整理をするのが一般的です。
四十九日法要は故人を弔うだけでなく、親族が整理した遺品について相談して形見分けなどをするのに絶好の機会です。親族が話し合えばお互いが納得して遺品整理を行えるため、後々のトラブルを防げます。四十九日法要以外の法要などでも遺品整理の話し合いは可能なので、話し合いに備えて意見をまとめておきましょう。
相続放棄の期限前(亡くなった3ヶ月以内)
遺産相続の際には、まず故人の遺産を「すべて相続する(単純承認)」か「すべて相続しない(相続放棄)」、あるいは「一部を相続する(限定承認)」という3つの方法の中からどれか1つを選択する必要があります。何も申立てをしなければ自動的に「単純承認」とされますが、もし「限定承認」や「相続放棄」を選択したい場合、その期限は「被相続人が亡くなってから3か月以内」と定められています。亡くなった方に借金があった場合は、それまでにプラスの財産額を調べることができると相続の承認方法を選択するのに役立ちますので、遺品整理においても3か月以内を1つの目安とすることができるでしょう。
相続税の申告期限前(亡くなった10ヶ月以内)
故人の遺産が相続税の非課税額を超えている場合、相続人には相続税が課されます。相続税の申告と納税は、故人が死亡してから10か月以内に行わなければなりません。期限を過ぎてしまった場合は、延滞税などの附帯税を課される可能性があります。相続税を算出するには、まず遺品整理を行い、故人の遺産の評価総額を把握することが必要です。
遺品の中から、銀行通帳や保険・不動産関係の書類など重要なものを探しましょう。土地や建物などの不動産は、査定が必要です。遺産の内容次第では、貴金属類や骨董品などの査定も必要になるかもしれません。期限に間に合うように、余裕をもって数か月前から遺品整理を行いましょう。
気持ちが落ち着いてから
気持ちの整理をつけられずに遺品整理を始めても、感情に左右されて作業を進められません。整理しようとすると、故人との思い出がよみがえり処分する気になれなくなってしまいますよね。そのため、気持ちの整理がついてから一気に遺品整理を行うのもよい手です。
ただし故人の死亡から何年も経ってしまうと、かえって何が重要で何が不要なのか、わからなくなってしまうことも考えられます。すぐに遺品整理を行う気持ちになれない場合は、「まずは半年」など目安の期限を自分のなかで設定しましょう。
もし相続税の期限が心配という場合でも、10か月以内に一度概算(財産額を多めに見積もった内容)で申告・納税をしておき、その後改めて財産内容が確定した段階で「更正の請求」をすれば、多めに払っていた分を還付することもできます。更正の請求の期限は「相続税の申告期限から5年以内」ですので、ある程度の猶予があると考えても良いでしょう。
1人で遺品整理するときの問題点
複数相続人がいてそのうちの1人が遺品整理をする場合、遺品を勝手に持ち去ったりすることは、調査の範囲を逸脱しているのでできません。他の相続人の同意を取っておき、トラブルにならないように注意しましょう。遺品整理後に他の相続人から「有名ブランドバックがあったんだけど、どこにやった?」などと言われて色々と疑われてしまうことになりかねません。こうしたトラブルを防ぐには、
- 遺品整理の現場の記録を残す
- スマホやデジカメ等で遺品を撮影する
- 簡単な貴重品リストを作る
これらの証拠を残しておくと良いでしょう。ただこのように証拠を残しても万全ではありません。やはり理想は相続人全員で遺品整理をするのが理想的な方法です。
まとめ
- 生前整理は残された遺族の負担を軽減し更に自分の将来に不安を残さずこれからの生活ができるためやっておいた方が良い
- 不動産相続にはトラブルが多いので注意が必要ですので事前に確認しておきましょう
- 遺品については全てが遺品です、処分については気をつけて行いましょう
- 遺品整理のタイミングはいくつかあります。自分の気持ちと向き合いながら、また他の相続人に相談しながら決めましょう
- 一人での遺品整理は注意が必要です。理想は他の相続人と一緒に行うことをお勧めします。
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